rekisitekishikouryoku’s blog

歴史的思考力を一過性でなく継続的に身につける方法

世界史要旨把握8中世ヨーロッパ史(8)ノルマン人の活動

今回の参考資料・引用元は

山川出版社発行の教科書『世界史探究 詳説世界史』2022年検定済23年発行

P98(16行目)~P99(23行目)「外部勢力の侵入とヨーロッパ世界」

https://new-textbook.yamakawa.co.jp/w-history

 

冒頭文で時代を特定する

8~10世紀、西ヨーロッパはたえず外部勢力の侵入に見舞われていた。

これは前の時代というより、前にやった単元と同時代であることを意味します。
8世紀は、フランク王国メロヴィング朝からカロリング朝に変わり、カール大帝が登場した頃。
9世紀は、フランク王国が分裂した頃。
10世紀は、ドイツ(東フランク)王が神聖ローマ皇帝に任命された頃です。

本文を読み進めると、11世紀の出来事も出てきます。
中世といわれる時代の前半部分に当たります。

いわゆるヴァイキング海賊が西ヨーロッパを混乱の極みにさせていたということで、この単元をダイナミックで面白いと思う人も多いのではないでしょうか。
ライトノベルやアニメ作品の題材にもなっているというのも、あります。
しかし、他の単元とのつながりを忘れてこの出来事だけを印象深く見ることは、避けなければいけません。

 

繰り返し出てくる言葉により、本文の要旨を把握する

第一段落

東方から (スラヴ)人 (イスラーム)勢力 (シチリア)島 南(イタリア)(フランス)(マジャール

この本文の主内容であるノルマン人以外の、西ヨーロッパを脅かした諸民族・勢力が内容です。
「東から、南から、諸民族・諸勢力が脅かし、侵入してきた」

中世ヨーロッパ史の最初の単元で書いたとおり、西ヨーロッパの気候と土質は安定しかつ優れ農牧業が発達しており、諸民族の羨望の的になっていたようです。
また地理的位置が、大陸の西端だったこともあります。(吹き溜まり)

 

第二段落

(ゲルマン)(ノルマン)海(ヴァイキング)船 一派(フランス)      (ノルマンディー)公 国(両シチリア王国)建国(イングランド)(イギリス)(アングロ=サクソン)(9世紀)(クヌート)征服

「ノルマン人は、海から船でやってきた。ある一派はフランスに行き公に封じられ建国し(のちイングランドを征服)、ある一派はシチリアに建国し、ある一派はイングランドを征服した」

西ヨーロッパが古代の地中海から離れ大陸の農牧業地域と化した頃、その忘れた海からやってきた敵に脅かされるというのは皮肉ですね。

ドイツやポーランド付近には行かないで、イギリスやフランス、イタリアに行ったのは、後者の地理的位置がそれぞれ西の端、南の端だったことが大きいと思います。
(スペインや北アフリカは、イスラーム勢力の支配下
もちろん交通手段が船なので、蓄えがあればさらに西、大西洋を渡っていくというのも、十分にあり得ました。

各地域をとことん侵略しなかったのは、余力がなくてできなかったからです。
クヌートやウィリアムによるイングランドの征服は、移動距離が短かったからできたというわけです。
ゲルマン人のうちのフランク王国だけがなぜ発展したかというその理由も、移動距離が短く消耗が少なかったからです。

 

第三段落

(ドニエプル)川(ノヴゴロド)(キエフ公国)(アイスランド)(グリーンランド)(北米大陸)原住地(北欧)(デンマーク)(ノルウェー)西 世界

「ノルマン人は各地に移住・建国したほか原住地にも建国したが、やがて西ヨーロッパ世界の一部になった」

ノルマン人は、8世紀から300年ほど活動した後、その特色は各地域の社会に溶け込みました。

固有名詞が多数出てきてとても複雑そうに見えますが、本文の要旨は非常に少ないです。これだけです。
ダイナミックな物語を期待していた人にとっては、期待外れだったことでしょう。

 

歴史的思考を促すような言葉は

東 南 海 船 一派 国 川 西

方角言葉は、本文要旨のところで出てきました。

一派というのは、ノルマン人といっても他の民族と同じく多数の部族(村ごとに違う)に分かれているということです。

船は、海だけでなく川にも浮かべることができます。川に沿って移動したのです。
略奪した物資や戦闘用の武器や馬を運ぶのに適していました。

*「海」「船」「川」

この3つの言葉を見たら、連想することは?
船は、浮力を利用し大量の物資を運ぶことができます。
現代は航空機が発達していますが、大量の自動車や原油や小麦を運ぶにはまだまだ船が必要です。

そう、海や川と船とくれば、交易・貿易を連想します。
実はノルマン人の本業は海賊ではなく、交易・貿易でした。
これは中国の明王朝時代の海賊「倭寇」と様相が似ています。倭寇も、本来は商人です。
一部の戦闘狂は除き、多くのノルマン人・ヴァイキングは日常は交易・商業活動をしていました。

ただ当時西ヨーロッパ中世の日常の多くは農牧業であり、その人たちから見ると船に乗って海外交易をしている人たちの姿は異様なものに思えたかもしれません。
これは、中世において国際金融業に従事したユダヤ人への偏見、地中海をまたにかけ商業活動を行うイスラーム勢力への敵対とも関係してきます。
当時は後述しますが、西ヨーロッパ人は生まれた村で生涯を過ごし、国際交流とは無縁だったのです。

 

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